
凪良ゆうさんの『汝、星のごとく』を読んで、改めて考えさせられたのは、「自分の人生を生きるとはどういうことなのか」ということでした。
この作品は、暁海と櫂という二人の人生を中心に描かれています。
恋愛小説として読むこともできますが、僕自身はそれ以上に、「自立とは何か」「人を愛するとは何か」「自分の人生を誰が決めるのか」というテーマが強く心に残りました。
僕自身、社会人3年目からダブルワークを始め、4年目には独立し、それから15年以上経営に携わってきました。
これまでの人生を振り返ると、決して最初からすべてが順調だったわけではありません。
会社員として働いていた頃から、「このまま決められた道を歩き続けるのか」「自分は本当はどんな人生を生きたいのか」と考えることが何度もありました。
周囲から見れば、そのまま会社員として働き続けることも一つの正解だったと思います。
それでも僕は、自分の可能性をもっと試してみたいと思いました。
自分で仕事をつくり、自分で仲間をつくり、自分の責任で人生を切り拓いていく道を選びました。
だからこそ、『汝、星のごとく』に描かれている「自分の人生を自分で選ぶ」というテーマには、強く共感しました。
人生には、自分では選べないことがたくさんあります。
生まれる場所も、親も、家庭環境も選べません。
暁海と櫂も、それぞれが自分ではどうすることもできない家庭の事情を抱えています。
そして、その環境が二人の人生や選択に大きな影響を与えていきます。
これは現実の世界でも同じだと思います。
経営をしていると、本当にさまざまな人と出会います。
最初から恵まれた環境にいる人もいれば、家庭や仕事、人間関係、お金など、いろいろな事情を抱えながら前に進もうとしている人もいます。
僕がそこで大事にしているのは、「過去や環境は変えられなくても、これからどうするかは自分で選べる」ということです。
僕自身も、経営を続ける中で何度も壁にぶつかってきました。
思ったような結果が出ないこともあれば、人との関係に悩むこともあります。
信頼していた人と考え方が合わなくなることもあります。
そんなときに、環境や誰かのせいにすることは簡単です。
でも、最終的に「では、自分はどうするのか」という問いに向き合わなければ、人生は前に進みません。
『汝、星のごとく』を読みながら、そのことを改めて感じました。
特に印象的だったのは、誰かを大切にすることと、その人の人生まで背負うことは違う、ということです。
僕は仕事でも、人との関係をとても大切にしてきました。
経営は一人ではできません。
仲間がいて、お客様がいて、取引先がいて、応援してくれる人がいる。
これまでたくさんの人に支えられてきたからこそ、今があります。
だから僕自身も、人の成長を応援したいと思っています。
ただし、人を応援することと、その人の人生を代わりに生きることは違います。
どれだけアドバイスをしても、最後に行動するのは本人です。
どれだけ可能性を伝えても、挑戦すると決めるのは本人です。
経営を通して多くの人と関わる中で、このことは何度も実感してきました。
僕は、「できるかどうか」よりも「やるかどうか」が大切だと考えています。
能力があるから挑戦するのではなく、まず自分で「やる」と決める。
そして、その選択に責任を持って行動する。
その積み重ねが人生をつくっていくのだと思います。
暁海と櫂の人生を見ていると、「愛する」ということについても考えさせられます。
好きだから一緒にいる。
もちろん、それも愛だと思います。
でも、本当に相手を大切にするなら、相手が自分らしい人生を生きることを尊重することも必要なのではないでしょうか。
これは仕事や組織でも同じです。
僕が経営者として人と関わるとき、その人を自分の思い通りに動かすことがリーダーシップだとは思っていません。
その人自身が「どうなりたいのか」を考え、自分で決め、自分の足で歩いていけるようになる。
そこに伴走することが、人を育てるということだと思っています。
人は誰かに答えを与えられ続けているだけでは、本当の意味では強くなれません。
自分で考え、自分で決断し、失敗も含めて経験する。
その中で少しずつ、自分の人生を生きる力が身についていくのだと思います。
そして、『汝、星のごとく』というタイトルも、とても印象的でした。
僕は星という言葉から、「一人ひとりが自分自身の光を持っている」ということを感じました。
誰かの光に照らしてもらわなければ生きられないのではなく、自分自身が光を放つ存在になる。
そのうえで、お互いの光が誰かを照らしていく。
これは僕が経営を通じてつくっていきたい組織や人間関係にも近いものがあります。
一人の強いリーダーだけが輝く組織ではなく、一人ひとりが自分の目標を持ち、自分の人生に責任を持ち、それぞれの場所で力を発揮する。
そして、お互いの挑戦を応援できる。
そんな関係性が理想だと思っています。
人生に正解はありません。
会社員として生きることも、独立することも、結婚することも、一人で生きることも、それ自体に正解や不正解があるわけではありません。
大切なのは、「自分で選んだ」と言えるかどうかだと思います。
僕自身、これからも経営者として多くの人と関わり、さまざまな挑戦をしていくと思います。
その中でも、周囲が決めた正解ではなく、「自分はどう生きたいのか」という問いを持ち続けたい。
そして、自分だけでなく、関わる人たちが自分自身の人生を選び取っていくことも応援したいと思います。
『汝、星のごとく』は、恋愛や家族を描いた物語でありながら、自分の人生を誰かに委ねるのではなく、自分自身で引き受けて生きることの大切さを教えてくれる作品でした。
誰かを愛しながらも、自分の人生を生きる。
誰かを支えながらも、その人自身の力を信じる。
そして、自分という星を、自分自身の力で輝かせていく。
僕自身も、そんな生き方をこれからも大切にしていきたいと思いました。





