西加奈子さんの『サラバ!』を読んで、
一番強く感じたのは、「人生は環境で決まるのではなく、
自分が何を信じ、どう生きるかで決まる」ということです。

この作品は主人公・圷歩の幼少期から大人になるまでを描いた長編小説ですが、
単なる成長物語ではなく、人が自分自身を受け入れ、
本当の意味で自立していくまでの過程が丁寧に描かれています。
読み進めるほどに自分自身の価値観と向き合う時間が増え、
読み終えた後には「これから自分は何を信じて生きていくのか」
を改めて考えさせられました。
歩は幼少期を海外で過ごし、日本へ帰国してからも周囲との違いに悩み続けます。
家庭環境も決して平穏とは言えず、自分の意思では変えられない
出来事の中で成長していきます。
その姿を見て、人生には自分では選べない環境がある一方で、
その環境にどう向き合うかは自分自身で決められるのだと感じました。
私自身、仕事や経営に携わる中で、多くの人と関わってきました。
同じ出来事でも、それを言い訳にする人もいれば、成長のきっかけに
変える人もいます。
その違いを生むのは才能ではなく、物事の捉え方と行動です。
『サラバ!』は、その本質を物語を通して教えてくれました。
特に印象に残ったのは、「他人の評価を基準に生きることの危うさ」です。
歩は周囲に合わせ、自分の本音を押し殺しながら生きる場面が多くあります。
嫌われたくない、否定されたくないという思いは誰もが持っています。
しかし、その気持ちが強くなりすぎると、
自分が本当にやりたいことや大切にしたいものまで見失ってしまいます。
現代はSNSの普及によって、他人の成功や華やかな一面を簡単に
見ることができる時代です。
その結果、自分と比較して落ち込んだり、
自信を失ったりする人も少なくありません。
しかし、本来比較するべき相手は他人ではなく、昨日までの自分です。
経営でも同じですが、競争だけを意識すると本質を見失います。
本当に大切なのは、自分が掲げた目標に対して昨日より前進できたかどうかです。
この作品を読みながら、「自分自身の軸を持つこと」
の重要性を改めて実感しました。
また、『サラバ!』で何度も考えさせられたのが、
「信じる」というテーマです。
歩は家族や周囲の影響を受けながら、自分が何を信じるべきか迷い続けます。
そして数々の経験を経て、最後には他人の価値観ではなく、
自分自身が納得できる答えを見つけようとします。
この姿勢は、挑戦を続ける経営者にも共通していると感じました。
新しいことに挑戦するとき、最初から周囲の理解を得られるとは限りません。
否定されることもありますし、結果が出るまで時間がかかることもあります。
それでも、自分が信じた道を歩み続ける人だけが、
新しい価値を生み出せるのだと思います。
私自身も、何か新しい挑戦をするときは「周囲がどう思うか」ではなく、
「自分が本当に価値があると信じられるか」を大切にしたいと改めて感じました。
家族との関係についても深く考えさせられました。
歩にとって家族は安心できる存在である一方、
大きな悩みの原因でもありました。
しかし物語が進むにつれて、家族を完全に否定するのではなく、
「その経験も自分の人生の一部だった」と受け入れていきます。
人生には消したい過去もあります。しかし過去を消すことはできません。
だからこそ、その経験をどう意味づけるかが重要なのだと思います。
失敗も挫折も、振り返れば今の自分をつくってくれた経験です。
経営でも思うようにいかないことは数え切れないほどありますが、
その経験を糧に改善を続けることで、次の成果につながります。
この作品を読んで、「過去は変えられなくても、未来は今日の選択で変えられる」
ということを改めて実感しました。
さらに印象的だったのは、「自分らしく生きることの難しさ」です。
社会には「こうあるべき」という価値観が数多くあります。
安定した仕事、周囲から評価される人生、多くの人が納得する成功。
しかし、それが全員にとって幸せとは限りません。
歩は何度も迷いながら、自分自身が納得できる生き方を探し続けます。
その姿から、本当の成功とは他人に認められることではなく、
自分自身が納得して生きられることなのだと感じました。
私は、仕事でも人生でも「誰かの人生を生きる」のではなく、
「自分の人生を生きる」ことを大切にしたいと思っています。
もちろん責任や周囲への配慮は必要ですが、
それでも最後に決断するのは自分自身です。
その覚悟を持つことが、自分らしい人生につながるのだと思います。
また、西加奈子さんの文章は、人間の弱さを描きながらも
決して絶望だけでは終わりません。
不完全だからこそ人は成長できるという温かさがあり、
読み進めるほどに登場人物へ感情移入してしまいました。
笑える場面もあれば胸が苦しくなる場面もあり、
その感情の揺れ動きが、この作品をより魅力的なものにしていると感じます。
今回『サラバ!』を読んで、私が特に心に残った学びは五つあります。
一つ目は、「環境は選べなくても、生き方は自分で選べる」ということです。
二つ目は、「他人の評価ではなく、自分の信念を軸に行動することが人生を豊かにする」ということです。
三つ目は、「挑戦する人は、理解される前に行動し続ける覚悟が必要である」ということです。
四つ目は、「過去の経験は、捉え方次第で未来を支える財産になる」ということです。
五つ目は、「本当の成功とは、自分が納得できる人生を歩み続けることである」ということです。
『サラバ!』は、人生に迷ったとき、自分の軸が揺らいだときに
読み返したくなる一冊です。
環境や他人の評価に振り回されるのではなく、自分自身の信念を持ち、
自ら選択し続けることの大切さを教えてくれる作品でした。
私もこれから先、仕事でも人生でも、困難や壁に直面することは必ずあると思います。
しかし、この作品から学んだように、大切なのは状況ではなく、
その状況にどう向き合うかです。
自分が信じる道を選び、行動し続けること。その積み重ねが、
自分らしい人生をつくり、周囲へ価値を届ける力になるのだと改めて感じました。
『サラバ!』は、「自分らしく生きるとは何か」という問いに
正面から向き合える作品です。
そして読み終えた今、私自身も「自分は何を信じ、どんな価値を社会へ届けたいのか」
を考え続けながら、一歩ずつ挑戦を積み重ねていきたいと思いました。





